2012年3月27日火曜日

ネットでサクッと信用調査(登記情報確認)



ご存知の通り、法人を設立すると法務局の登記簿に商号・所在地・資本金・役員その他モロモロの情報が登記される。
これらの情報は手続きをすれば誰でも閲覧でき、その登記簿の謄本(写し)を取ることが出来る。
以前なら法務局に直接行くか郵送申請、あるいは謄本取得代行業者を利用するか。
だがイマドキはその登記情報をネットで簡単に閲覧したり、謄本を申請できるようになっているし、料金も安くなってきている。(イマドキといっても、ネットで確認できるようになったのは随分前からだけど)

先日の記事(Blog the Minor: 登記情報提供サービスがリニューアル!)でも紹介した通り、サイトリニューアルでかなり使いやすく手軽に確認できるようになっているので、せっかくだから積極的に利用してみたい。

どんな時に「登記情報提供サービス」を利用するか。
例えば、新規取引先となりそうな法人の信用調査だ。
信用調査というと大げさで、普通は帝国データバンクとか興信所などを使って、財務内容や代表者の過去の経歴を洗い出して・・・なんてイメージをすると思うが。
そこまではなかなか出来なくても、相手の登記内容を確認するのは信用調査の第一歩である。
どこかに提出するわけではないので紙である登記簿謄本(登記事項証明書)を申請する必要はなく、登記情報提供サービスを利用してサクッと内容がPDFで確認できれば良い。

今であれば多くの会社がWEBサイトを持っていて、そこには登記事項と同じようなことが「会社概要」として記載されていることが多い。
自身で法人を設立していればどんな内容が登記されているのかある程度把握してると思うが、フリーランス等の個人事業者だとあまり馴染みがないかも知れない。
登記される内容というのは会社によっても微妙に異なるが、そのうちいくつかについて「信用調査」という目線で以下コメントしてみる。

商号

会社名をコロコロと変えていないか。
度重なる商号変更は「社名を検索された時に悪評が表示されないように社名を頻繁に変えてるのでは?」という疑念を抱いてしまうことも。
現社名だけでなく旧社名でもググっておきたい。

本店

本店の所在地を頻繁に移転していないか。
登記上の本店所在地と、WEBサイトや名刺に記載された所在地が一致しているかどうか。
登記上の本店と実際の所在地が異なることは決して珍しいことではないが、実際の所在地で登記情報を検索してもヒットしないので検索した方は不安に感じるかも知れない。
自社がそのようになっているのであれば、サイトの会社概要等にその旨書いてあると親切かな、と。
登記を調べられる際に見つけにくいようわざわざそうしている、というのなら別だけど・・・。

公告方法

大企業だと日刊新聞紙での公告もあるが、中小企業では「官報に掲載する方法」がほとんどかと。
公告の内容は、決算公告や組織再編(合併・分割など)など色々あるが、毎期の決算公告については義務であるにもかかわらず実施されているケースは少ないようだ。
たまに電子公告を採用して公告の全部又は一部をWEBサイトに掲載するケースもあり、URLが登記されていたりする。
なお、官報等での決算公告は要旨(かなり大雑把な数字)のみであるのに対し、WEBサイト上での決算公告は全文で掲載されるので細かな内容まで確認できる。
といっても、一定規模に満たなければ貸借対照表のみでOKなので、小さな会社で損益計算書まで公開してるケースは稀だと思うが。

会社成立年月日

設立日が古ければ歴史ある会社ということになるが、中には長らく休眠してた会社を買い取って最近また使い始めた、というケースも。
最近の設立であれば、それまでは勤めていたのか、個人事業として活動していたのか、別の法人を経営していてさらに今回設立したのか、なども確認したいところ。

目的

いわゆる事業目的だが、現在営んでいる事業だけでなく、将来行うかも知れない予定の事業も含めて登記することができる。
具体的な予定・可能性がなくてもとりあえず盛り込んで登記しておくのが一般的だと思う。
後になって目的を追加するとなるとまた登記費用がかかってしまうからだ。
もちろん、中には「目的はひとつ、いまやってる事業のみ!」という実に「漢」な会社もあったりする。
あと、会社が買収されて経営者が変わったすると途中で事業目的がガラっと入れ替えられたりすることも。
ちなみに、検索してたら資本金1円で目的が100個以上なんてのもあったが、さすがにちょっと・・・・
ま、なんにせよ、ほどほどが良いような気はする。

資本金の額

社名や所在地同様、資本金に関する情報もWEBサイトの会社概要ページによく掲載される項目だと思うが、やはり一応は登記情報を確認しておきたい。
数字なので一桁違ってサイトに掲載されている、なんてこともなきにしもあらず。
一般的には資本金は大きい方が財務内容も健全というイメージはあるが。
大きければ必ずしもいいってもんでもないし、少ないと絶対ダメということもない。
資本金だけ大きくても赤字ばかりで内部留保が少ない会社は山ほどあるだろうし、逆に資本金1円でも財務内容は健全という会社もあるかも知れないし。
あくまでも参考資料のひとつとしてこだわり過ぎない方が良いかも。

役員に関する事項

この欄では役員の氏名の他に、肩書(代表・取締役・監査役など)や就任日、辞任(解任)日などが掲載される。

相手が代表取締役を名乗っていても、登記をチェックしたら既に代表者でなく、取締役ですらなくなっていた、なんてこともある。
また、サイトや名刺ではビジネスネーム?通名?を使っているのか、登記上と氏名が違う場合もある。
だからと言ってすべてがアヤシイというわけではないが、この辺もしっかりと確認しておきたい。

役員就任日から期間がだいぶ経っている場合には役員変更登記が適切になされていない可能性もある。
これ自体は大問題というほどではないかも知れないが、やはりルーズという印象を受けてしまう。
とはいえ、会社法施行で役員の任期が最長10年となったことにより、役員変更手続きがされていないのか、任期が伸長されているのか、登記上からは分かりづらくなってしまったが。

さらに、代表者は自宅の住所まで登記事項となる。
登記簿に代表者個人の住所まで記載するのはプライバシー的・セキュリティ的に問題でないかということで、その部分は非公開化(限定公開)とするような議論もあったように記憶しているが、その後どうなったんだろうか。
確かに、登記簿の内容は元々誰でも閲覧できるものではあるが、いまやネットで簡単に、かつ以前よりも低料金で閲覧することが出来るようになっているし、興味本位・悪用目的での閲覧の可能性も高くなっているような気はする。
例えば女性経営者(代表者)で一人暮らしの方などは不安に感じる部分もあるのではないだろうか。(そうでもないんだろうか。)

そんなこともあって、また、登記費用的にも、代表者が自宅を引っ越しても登記変更をせずに放置しておくケースもあると思う。
登記を適切に行わなければ通常は過料などの罰則があるわけだが、つい先日こんなニュースが。
法人登記に虚偽記載、容疑の社長を逮捕 大阪 - MSN産経ニュース 大阪 2012.3.13 02:01
経営する会社の法人登記の役員欄に、実際には住んでいない住所を記載し届け出たなどとして、淀川署は12日、電磁的公正証書原本不実記録容疑などで、大阪市中央区の不動産業「ミフネ」社長、中熊孝廣容疑者(64)=豊中市東豊中町=を逮捕した。
逮捕容疑は、平成22年4月ごろ、大阪法務局で同社の法人登記を書き換える際、豊中市内に自宅があるのに大阪市内に住んでいるとの嘘を申請したなどとしている。「申請時は大阪市に住んでいた」と容疑を否認しているという。
同署によると、自宅は会社名義で固定資産税なども同社が支払っているといい、税金対策のため犯行に及んだとみて調べている。
いわゆる別件逮捕?という見方もあるが、う~ん・・・・・。

その他

管轄が変わるとそれまでの登記履歴が表示されなくなるので、それを目的として所在地を変更するケースもあるだろう。
が、その場合でも元の管轄にはそれまでの登記情報が残っているので、閉鎖登記簿の情報を取得して確認しておくべきかと。

また、相手の会社や代表者が不動産を所有していて具体的な所在等が分かるのであれば、その不動産に関する登記情報を調べて権利関係等をチェックするということも有効かも知れない。


以上、登記情報だけ確認しても支払い能力が分かるわけではなく、これだけで信用調査というにはアレだが、何もしないよりは随分マシだろう。

登記されている情報がすべて正しいかというとそうでもないが、やはりよほど信頼出来る人からの紹介などでなければ、新規取引にあたって登記情報くらいは確認しておきたいところである。
もちろん、料金が安くなったとはいえ有料なので、必要に応じてで良いと思うが。

併せて、これは皆やっていることだと思うが、ネット上(某掲示板やFacebook・Twitter等のSNS)での情報収集も行うべきであろう。
その際、法人名や代表者名だけでなく、登記情報で確認した他の取締役や監査役の名前でも一応チェックしておくと良いかも。
これまた必ずしも正しくない、というか、デマもふんだんにあると思うが、火の無い所に煙は立たぬということもある訳で。

いずれも基本的なことではあるが、改めて確認しておきたい。




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