2012年2月3日金曜日

私がせっせと領収書をスキャンする理由(本編)


前回こちらの記事でさわりだけ紹介したが、今回はその具体的な内容を。

【1】作業の合理化

1−1.PC上での効率的な入力
よくある領収書の整理方法として台紙(ノート)に貼りつけていくというのがある。
勤務時代の若かりし頃はこの作業に命懸けてて(?)、「領収書は台紙の下の方から貼っていくといいんだぜ」とか「貼ってはがせるポストイット糊がオススメ!」などとドヤ顔で貼っていたものだが。
で、入力についても、貼りつけ前の領収書を手元に置き、1枚1枚めくりながら会計ソフトへ入力していくのである。

ハッキリ言ってこの作業が苦痛になったというか疑問を感じるようになったというか、つまりは飽きちゃったのである。
いっそのこと、やり方をガラっとに変えてみようと。
領収書等をすべてスキャンして、PC上でどのように処理するか。
まず会計ソフトへ入力(つまり仕訳)をするにあたって必要な情報は
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日付 ★
借方科目
借方補助科目
借方消費税区分
借方金額 ★
借方消費税額
貸方科目
貸方補助科目
貸方消費税区分
貸方金額
貸方消費税額
摘要(相手先・内容) ★
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
であるが、ここではひとまず★印の項目のみを考えることにする。
スキャンした領収書はPDFファイル(Jpeg等の画像形式などもあるがPDF推奨)として保存されているが、これらのファイル名に必要な情報(★)を入れてしまう。
つまり、ファイル名が「日付(年月日) 金額 相手先 内容.pdf」という感じになる。
もう少し具体的にすると「111204 700 ◯◯交通 タクシー代.pdf」とか。

当然ながら素朴な疑問がいろいろわくと思うので以下Q&A形式で。

Q1:え、ファイル名をいちいち入力するの?

A1:どうせ会計ソフトへ入力してた訳だし、今回はこのファイル名を後で加工して会計ソフトへ取り込むので手間はそれほど変わらないはず。


Q2:ファイル名の変更は、いったんファイルを開いて、そのままだとファイル名変えられないから内容を覚えて、ファイルを閉じてから変更。これを全部のファイルでいちいちやるの?

A2:MacかWindowsかでやり方が異なるが、いずれにしてもファイルをいちいち開かなくてもOK。
MacならFinder上でQuicklookを使い、Windowsなら標準のExplorerのプレビュー機能を使う。

Mac(Finder+Preview)



Windows(Explorer−プレビュー表示あり)



Q3:日付は年も入力しなければダメ?

A3:例えば個人事業主なら暦年で処理なので、保存されているフォルダが暦年毎になっていれば月日だけでもOK。年は後から一括で処理出来る。


Q4:項目の区切りは半角スペースじゃないとダメ?

A4:特にダメということもないが、例えば全角スペースだとちょっと間延びした感じになるし、カンマ(,)だとちょっと見難く感じた。ハイフン(-)やアンダーバー(_)でもとも思ったが、やはり入力のしやすさで半角スペース(Shift+スペースキー)にしている。


Q5:「内容」まで入力しないとダメ?

A5:基本的には必要だが、例えば回数の多い相手先についてはいったん省略しておいて後で一括入力する方法もある。なお、内容についてはある程度まとめた形でシンプルにする必要がある。
購入したアイテム一点ごとに入力する必要はない。後で勘定科目を割り当てるために大まかな内容が分かればOK。「飲食代」とか「タクシー代」など。


Q6:PDF形式を推奨する理由は?

A6:Jpeg等の画像形式だと一つのファイルで複数ページにならず(Tiffを除く)、また注釈を入れる場合に画像形式だと上書きになるのでオリジナルを念のため残したくなるが、PDF形式ならレイヤーで保存されるので後から注釈内容を修正したり削除することも可能なため。


Q7:★以外の項目の入力はどうするの?

A7:これはまた後日解説予定。簡単に言ってしまえばファイル名を一括でコピーしてExcelに貼付け→Excelで編集・★以外を入力→会計ソフトに取込み、という感じ。



1−2.台紙への貼付けをやめる
上記のやり方で領収書をすべてデジタルデータ化してしまえば、その整理はPC上で行われるため、あまり几帳面に紙の領収書を整理する必要はないかと。
こうしておけばもはや紙の領収書を見るのは税務調査の調査官だけだと思う。
さすがに段ボールにワサッと入れておくだけでは失礼というか、あまりに調査もし辛いだろうし、最低限の整理は必要だろう。

私の場合は、月単位や領収書の種類(相手先)単位で分けてクリップでとめ、キングホルダーというマチ付き封筒型のクリアフォルダに放り込んでオシマイとしている。
もちろん領収書の量によっても整理方法は違うだろう。


どうしても台紙に貼ってキレイに整理したいという場合には、仮にやるとしても会計ソフト等に入力した後に貼るべき。
既にノートに貼りつけてあるものを入力しようとすると片手が領収書を押さえるのに取られてしまい入力のスピードは著しく落ちるので。
ちなみに当事務所では台紙に貼りつけた状態での入力依頼は基本的に受け付けないことにしている。


1−3.作業の分散化
領収書の原本しかなければそれを今持ってる人しか処理できないが、データになっていれば処理も他の人に手伝ってもらったりなど分散処理が可能。
デジタルデータなので委託先は国内だけでなく海外でも構わない。


1−4.領収書の検索
過去の経費の領収書を引っ張り出して確認することなど税務調査以外ではあまりないと思う。
調査ですら細かい経費の領収書なんてスルーして全く見ないこともある。
が、まぁ何らかの理由で領収書を探すときもデータになっていれば瞬時に検索が可能。



【2】バックアップ

2−1. 紛失・滅失

言わずもがなだが、昨年の大震災でより一層考えなければならなくなったと思う。
領収書などは、良く言われることだがいわゆる額面の◯%相当のお金と同じ価値がある。
◯%はその人の適用税率によって変わってくるので、所得が高くなればなるほど領収書の価値も増す。
とはいえ、泥棒が入って領収書を持って行かれるかといえば、泥棒にとっては価値がないのでその可能性は低いだろうが。
例えば火事や水害等による滅失は充分考えられることである。

電子帳簿保存法による運用ではないのでデジタル化したデータ自体は法的な証拠能力はないが、火事等で原本が全くなくなってしまった場合に、このデータを基に処理することはある程度は考慮されるのではないだろうか。
さらに、会計事務所等へ記帳を依頼することも多いだろう。
その際に郵送や宅配便を使って領収書原本を送るのだが、これらの配達事故も可能性としては低いかも知れないが想定しておかなければならないと思う。
いずれにしても本人にとっては現金と同じようなものなのだから。


2−2. 感熱紙への対応
領収書というと手書きのコクヨ用紙などが思い浮かぶが、最近ではレジから出力されたレシートをそのまま領収書として利用することも多いだろう。
ただ、レシートは感熱紙なので、時間が経つと文字が薄く見えなくなってしまうことがある。
うっかり日当たりの良い窓際に置いておくとあっという間に真っ白になる。
こういったことに備える意味でも、もらった領収書はなるべく早い段階でスキャンしておくに限る。
「領収書は鮮度が大事!」


2−3. チェック・牽制
上述の通り会計処理を外部委託する場合に領収書原本を送ると思うが。
当然ながら何を送ったのか、1枚1枚控えている訳ではないだろう。
つまり、可能性としては低いが、委託先が故意又は過失によってある領収書の処理が漏れたとしてもそれを確認する術はないということになる。

例えば、若い会計事務所職員が、確定申告時期に仕事を山ほど与えられ、領収書を1枚1枚めくりながらやっとの思いで入力し、申告書まで完成させ、ふと気がついたらキーボードの裏に処理していない領収書が見つかって、「ウソだろ・・・。これを入力したら数字が全部変わってまたやり直しかよ・・・」と思いながらふと周りをキョロキョロ見渡し、次の瞬間その領収書を握りしめてポケットに隠してしまう・・・。なんてことも考えられなくはない。うん、例えば。

だから、なるべくなら領収書原本は送ったりしない方が良いのではないかと考えている。
最低限の整理すら面倒なので委託したいという場合もあるだろうが、その場合は一度スキャンした後にまとめて送るのが望ましい。
一度デジタルデータ化しておけば領収書が1枚なくなっても気がつく可能性がある。
実際にはそこまでチェックしないだろうが、可能性があるというだけで委託先への牽制になるはずだ
逆に受託する方もあらぬ疑いをかけられないためにもその方が良い気がする。
多くの場合は普段から付き合いのある信用のおける会計事務所等へ委託するのでそこまで気を遣うことはないかも知れないが。
料金の安さだけを気にしてネットで検索したまったく初めての記帳代行業者とかに依頼し、いきなり領収書原本を送るなんて、自分なら怖くて躊躇してしまうかも知れないな、と。


【3】その他

3−1. 郵送コストの削減
これまた言わずもがなだが、納税者自身がスキャンしてデータだけ会計事務所へ送るようにすれば郵送コストは不要となる。
なお、データのやり取りをする場合に、メール添付では無理なので、Dropbox等のクラウドサービスを利用することを前提としている。


3−2. 手荒れ・ほこり・ウィルス対策
個人的にはこれはかなり重要な要因なのだが。
領収書をお預かりするのはやはり2・3月の確定申告時期、つまり冬が多い。
空気が乾燥し、風邪やインフルエンザなどが流行する時期でもある。
そんななか1年分の領収書がまとめて送られてきたりするが、埃がかぶってることも多い。
また、紙の領収書を触っていると手の油分を取られてカサカサになるので手荒れがヒドイことに。
さらに、その埃に混じって風邪やインフルエンザのウィルスが持ち込まれることもある。
(なんていうとなんか感じ悪く聞こえるかも知れないが・・・悪気はないです。)
なので、極力紙の領収書には触りたくないなと思う次第。


【4】デメリット

領収書をスキャンしてデジタル化することについて、主にメリットを書いてきたが、当然ながらデメリットもある。

4-1. 読み取りづらい領収書
たまにあるレジの印字がうっす〜〜〜いレシート。
あとコンビニとかで領収書に収受印を押してもらったりするがそのインクがうっす〜〜〜いやつとか。
あれが非常に困る。
スキャンしてもよく見えない。
解像度を上げてもまだ見えない。
仕方が無いので鉛筆で日付や金額などメモしてからスキャンし直す。
しかもそういうレシートに限って金額が100円とかの超少額だったりして余計に腹が立つ。
レジやスタンプのインクはしっかり補充しておいて頂きたいものである。
余談だが、時折ある日付の記載がない領収書、あれも困るのでヤメて頂きたい。


4−2. スキャンの手間
そりゃスキャンしない場合に比べれば手間はかかる。
が、こちらの記事の通り、実際にやってみると思ってるほどは手間ではない。
また、今まで台紙に貼っていたのをやめるのであればそれでチャラどころかお釣りがくるはず。


4−3. スキャナーの導入コスト
これは確かにかかる。
イチオシのScanSnapS1100の現時点の値段が約12,000円。
決して安くはない。
だが、それ以上のメリットはあると思う。
当事務所でも、いますべての顧問先にこのやり方を適用するのは難しい部分もあるが、今後はこのやり方を標準とし、契約内容にもよるがスキャナーは無償提供していく方針。




というわけで、つらつらと領収書データ化のススメを書いてきたが。
これをKYBERのような仕組みで出来ないかなと考えている。

ASCII.jp:日本生まれのクラウドノート「KYBER」がすごい理由

ここまでのデータ作成にはいわゆる簿記会計の知識は全くいらない。
繰り返しになるが、単に「日付・金額・相手科目・内容」だけである。
内容の部分で人によって多少のブレが出ることは考えられるが、その他はブレようがない。
スキャンしたファイルをCLOUD=雲の上に置き、CROWD=群集の力でデータ化してしまう。
会計仕訳の前の下ごしらえ的な感じで。
守秘義務その他障害は多いかも知れないけれど。

そんなことを考えつつ、より効率化できないかと試行錯誤の日々である。


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